コラム
トリアージタッグの使い方・書き方
訓練で確認したい記入と引き継ぎ
公開日:2026年8月26日
トリアージタッグを用意しても、誰が判定し、誰が記入し、どの時点で控えを渡すかが決まっていなければ、訓練中の情報は途中で止まってしまいます。タッグは色を示す札だけではありません。傷病者の識別、判定時刻、実施者、観察や処置の内容を次の担当へ引き継ぐ記録でもあります。
この記事では、医療機関や消防、自治体などが関係機関と連携して行う訓練を想定し、判定方法そのものではなく、タッグの記入と引き継ぎの流れを整理します。実際のトリアージは、所属する組織の計画と専門職の指示に従ってください。
この記事でわかること
- 判定する人と記入する人を分ける考え方
- タッグへ記入する順序と読みやすく残すポイント
- 色帯、装着、複写の控えを引き継ぐ流れ
- 再トリアージと訓練後の振り返りで見る項目
トリアージタッグは、判定結果と経過を引き継ぐ記録
トリアージタッグには、その時点の区分だけでなく、傷病者を識別する情報、実施した時刻と担当者、観察した状態、行った処置などを記録します。傷病者が災害現場から救護所、搬送、医療機関へ移るとき、担当が変わっても情報をつなぐためです。
総務省消防庁の検討会報告では、トリアージタッグに傷病者を特定する情報、観察結果、判定区分を記録し、複写した用紙を救急指揮所や搬送する救急隊、医療機関へ引き継ぐ運用が示されています。急いで書く場面を想定するからこそ、訓練では「何を書くか」と「誰へ渡すか」を一続きで扱います。
訓練前に、判定・記入・搬送・集計の役割を分ける
判定する人がタッグの全項目まで一人で記入すると、次の傷病者への対応が遅れることがあります。厚生労働省医政局事業のBCP策定手引きに掲載された運用例では、トリアージの実施者と記載者を2人1組にしています。これは一つの運用例であり、実際の人数と役割は各組織の計画に合わせます。
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判定する人
組織で定めた基準に基づいて区分を判断し、記入する人へ結果と根拠を伝えます。
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記入する人
通し番号、時刻、実施者、区分、観察内容などを、決められた欄へ読みやすく残します。
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搬送・誘導する人
タッグが装着されていることを見て、区分に応じた場所へ傷病者役を誘導します。
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控えを回収・集計する人
複写の控えを受け取り、人数や移動先を記録する担当へ渡します。
タッグ、黒い筆記具、控えの保管場所をそろえる
訓練前には、トリアージタッグ、記入用の黒い筆記具、予備のタッグ、控えを入れる箱やファイルを用意します。複写式のタッグでは、下の用紙まで文字が写る筆圧も訓練で確かめておくと安心です。
傷病者役に渡す設定カード、通し番号を管理する一覧、各区分の誘導先を示す表示も、タッグと一緒に準備します。実在する人の個人情報を練習用に書かず、架空の氏名や連絡先を使うこと、訓練後にタッグを回収・処分することも事前に決めておきます。
書き方は、識別・時刻・実施者・区分から
タッグの様式によって欄の名称は異なりますが、まず傷病者を見分ける番号、実施した月日と時刻、実施者、判定区分を残します。その後、分かる範囲で氏名などの識別情報、負傷部位、観察内容、行った処置を記入します。
不明な情報を推測で埋めると、後の担当者が事実と誤認するおそれがあります。分からない欄の扱いは組織の手順に従い、記載内容は小さすぎない文字で読みやすく残します。追記や区分変更に使う余白も考え、最初から欄いっぱいに書かないことが大切です。
記入の流れをそろえる目安
- 通し番号など、傷病者を識別する情報
- トリアージを実施した月日・時刻と実施者
- 判定した区分と、その判断に必要な所見
- 氏名、負傷部位、観察・処置など様式に沿った情報
色帯を残し、決めた位置へ装着する
判定した区分へ印を付けたら、その区分と同じ色が一番下に残るよう、不要な色帯を切り離します。記入した区分と見えている色が一致しているか、装着する前に二人で見比べると、訓練中の取り違えに気づきやすくなります。
公的な病院BCPの運用例では右腕を優先していますが、装着位置は組織の計画やタッグの仕様によって確認が必要です。訓練では、傷病者役が移動してもタッグが外れず、次の担当者が色と記録面を見られる位置へ装着できるかを確かめます。
複写の控えは、渡す場所と保管担当を決める
複写式のタッグは、一度の記入で同じ内容の控えを作り、災害現場、搬送、医療機関などで情報を共有するために使われます。ただし、複写枚数と各用紙の保管先は、タッグの様式や組織の運用によって異なります。
訓練では「どの場所で何枚目を外すか」「誰が受け取るか」「どこへ保管するか」を決めます。控えを外す練習だけで終わらせず、回収した用紙から傷病者の人数、区分、移動先を集計するところまで行うと、情報が止まる場所を見つけやすくなります。
再トリアージでは、前の記録を消さずに変化を残す
傷病者の状態は時間とともに変わるため、トリアージは一度で終わりではありません。再トリアージで区分が変わったときは、新しい区分だけでなく、変更した時刻、判断した人、変更の根拠を記録します。
区分が上がった場合に残す色帯や、区分が下がった場合の新しいタッグの扱いには、公的な資料でも運用例が示されています。訓練では所属組織の手順を使い、前のタッグや記録を黙って捨てたり、上書きして経過を消したりしない流れを練習します。
訓練後は、記入漏れだけでなく情報の滞留を振り返る
訓練後の振り返りでは、タッグの書き方だけでなく、傷病者役と控えがどこまで移動できたかを見ます。きれいに記入できていても、控えが集計担当へ届かなければ、全体の人数や移動先を把握できません。
訓練後に見る項目
- 通し番号、時刻、実施者、区分に記入漏れがないか
- 記入した区分と、残した色帯が一致しているか
- 複写の下の用紙まで読める濃さで写っているか
- タッグが傷病者役とともに移動できたか
- 控えが予定した担当者と保管場所へ届いたか
- 再トリアージの前後が記録から追えるか
- 訓練用の個人情報を決めた方法で回収・処分できたか
まとめ
トリアージタッグの使い方は、区分を書いて色帯を残すところだけでは終わりません。判定と記入の役割を分け、時刻や実施者を読みやすく残し、タッグを装着した傷病者と複写の控えをそれぞれ次の担当へつなぐことが重要です。再トリアージの変更履歴と、訓練後の回収・集計までを一つの流れとして確かめましょう。
参考にした公的資料
用途に合ったトリアージタッグを作りたい方へ
まだ印刷仕様がまとまっていない場合も、現在使っているタッグや使用目的、運用方法を伺い、残したい記入欄、複写枚数、通し番号、色帯、紐などの仕様を整理します。既存の現物やデータがある場合は、変更したい箇所とそのまま使いたい箇所を分けながら進められます。
